Wednesday 9 October 2013

オランダのスーパーマーケットの”価格戦争”。

多少前の話になるのだが、ある週末のニュースでしきりに繰り返されていたニュースがあった。それは、ドイツ系のスーパーマーケットの価格破壊的な値段に押され、顧客を奪われがちだったオランダの最大手スーパーマーケットチェーンが、「価格戦争」突入を宣言。一斉に多種多様な商品の値下げに入るという内容だった。

そして最大手のスーパーマーケットがこの戦略に突入したことにより、他の大手スーパーマーケットチェーンもある種追随せざるをえず、全面的に価格が下がってくるだろうとのこと。そして現に、毎週のように、大手のスーパーや、薬局系マーケットのチェーン店が、割引セールをしている広告が飛び込んでくる。こうした現象は、2008年頃にも起き、あまり芳しくない結果に結びついていたようだが(あまり調べてないので本当のところ分からないが)、不況が長引く今、またもこうした事態へと突入。

「消費者」としては何となく、「割引」と聞くと嬉しい。ついつい広告をチェックし、日常よく使うもので、保存が利くものは、多少まとめ買いに走りにいったり。でも、つい先日、反対側の立場にいる人に会う機会があり、今更ながらふと手放しで喜べることではないのだなと感じた。

反対側の立場とは、「生産」する側のこと。我がパートナーの親戚で、同じ村で今はやりの「ビオロジー」農家をしている方がいる。ビオロジーというアイディアが出始めた頃に、銀行が融資をしてくれ、かなりの投資をして、室内で、温度・湿度・その他を全て機械でコントロールする形の野菜栽培を始めたそう。当初は、安い賃金で働くポーランドの移民の人たちを雇い、順調に農場ビジネスは伸びていたようなのだが、ここ1-2年停滞。理由は、この人がやっている野菜が儲かると踏んで、沢山の農家が参入してきたこと、また最近価格戦争を仕掛けた最大手のスーパーマーケットなどが、大量仕入れなどにより価格コントロールをしかけていること。一方的な安い買値を農家に宣告し、農家側が利益があがらない状況に陥っているようだ。

こうして農場経営さえ危ういほどの苦境に陥っている人たちを見て、ただただ安いものを喜んでもいられないのだなと、今更ながら理解する。生きるものを育てる(家畜であれ、野菜・果物であれ)には、沢山のコントロール難しいものを制御しながら、手間隙がかかって出来上がっているものなのだが、その生産者の仕事に対して「買い叩く」状態にあるとは・・・と切なく感じてしまう。

人間、その立場になってみないと、なかなか実態分からず、また自分の都合の良い方だけを見てしまいがちなのは多少仕方がないこととは思いつつ・・・ これからは、生産者の顔を見ることもできるし、少し農場での直売品を買おうかななんて。

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