Sunday 5 May 2013

戦争と平和。

日本ではゴールデンウィークにあたる週のあたり、ここオランダでは学校が春休暇に入った。丁度、今年は戴冠式となった、最後の女王誕生日の週あたりから約1-2週間のようだ。

さて、5月4日の夕方のこと。我がパートナーと近くの村を車で通りすぎると、この村にある教会からそれなりの数の人達が三々五々と歩いて出てくる。今日何かあったっけ?と聞くと、「Dodenherdenking Dag(戦没者記念日)」とのこと。 よくよく各家を見てみると、オランダ国旗が半旗で掲げられている。 ここオランダでは、第二次大戦下でドイツ・ナチ軍が降伏した5月5日の前日が、戦争で亡くなられた方々を追悼する日となっている。 以前は毎年が国民の祝日となり、国をあげて追悼を行っていたようなのだが、今は5年に1度が祝日。ちなみに前回の祝日は2010年。実はこの時期に丁度オランダに旅行で来ていた際だった。我がパートナーの幼馴染カップルを訪ねてNijmegenという街を5月3日に訪ねたのだが、この街に近辺にあり、たまたま通りかかったオランダのために戦って亡くなられたカナダ軍兵士の墓地で、女王様が参加する追悼イベントが予定されており、翌日に向けて準備しているところに遭遇した。

また自分が住んでいる近辺には欧州を横断する大きな川が通っているのだが、この川を境に、川の向こう岸はドイツに占領されていたらしく、幾つかの戦いの逸話を聞いた。 時には洪水になりかける危険なものにもなるが、この戦争中はこの川のお陰で守られたこの地域。とはいえ、何度かドイツ軍が攻め入ろうとしたらしい。その攻防の中で、イギリス兵士がドイツ軍からこの地域を守ろうと闘って亡くなったことを追悼する碑が1つ。また隣村では、手こぎのボートで10名ほどのドイツ軍グループが川を渡ってやってきて、村民を残虐な目にあわせたらしく、そのことを記す碑もあるらしい。我が村でも、戦って亡くなった兵士たちを追悼する碑が1つ。こうした碑には、この日沢山の献花がかかげられ、小さな追悼式のようなものをやっているのにも遭遇した。このような訳で、快晴だったこの日ではあるが、何となく重い空気を感じる1日となった。

そして翌日の5月5日。この日は外に出ると打って変わって少し明るい空気を感じ取る。各家では、昨日は半旗で掲げれていた国旗が、誇らしげに高く掲げられる。そう、この日はドイツ軍が降伏し、オランダが「自由」になった日。「Bevrijdingsdag(解放記念日)」である。ニュースでも各地で行われたイベントをレポート。Utrechtでは、総理大臣が参加して、その際にしたスピーチがニュースになったり。

時には少しお互いが戦争中にしたことの上げ足取りをしたり、誇張したり、事実が何となくうやむやにされていて、本当のことが分からなかったり、なかなか中立的な視点で語ることは難しい。また時が移り変わり、段々と実際の戦争体験者が少なくなっているので、各国で新しい世代が危うい道へと進みかける様子も見え隠れしている。でもやはり、罪のない市民が大量に犠牲になるような過ちは、二度と起こらないような道を探っていけることが必要なのではと感じる。

No comments: